トップアスリートの考える技術 vol.4 〜今の自分を突破するための「役割性格」〜

これまでトップアスリートの考える技術の一つ「縦型比較思考」についてお伝えしてきましたが、縦型比較思考で理想とする自分の将来像を描いていくと、その姿と現状の自分とのギャップがどんどん見えてきたのではないでしょうか。

おそらく、身に着けるべきスキルは山ほど書き出すことが出来るでしょうし、その中にはまだ出来ていないけれどやりたいこともあれば、出来ればやりたくない苦手なこともあると思います。

しかし、例えそれが苦手であっても、スキルを身に着けることができれば大きな可能性が生まれます。ましてや理想の将来像が世界で活躍する選手になることであれば、今はできなくても理想の姿に自分を近づけていくためには苦手に向き合うことは避けて通れない道です。成長の過程には必ず苦手なことが存在します。

このように理想の自分の姿に近づこうとすると、このように「それまでの自分のまま」=『オリジナルの自分』では壁を乗り越えられないということが起こってきます。そんな時、役に立つ考え方の技術が「役割性格」です。

多くのスポーツ選手を研究してきたレーヤー博士は、強い選手は『演じるべき自分=役割性格』が明確で、役割性格を『演じるスキル』を持っていると言っています。

このような強い選手たちも『オリジナルの自分』は多くの選手と同様に苦手なことがあります。しかし、彼らは苦手なことや動揺するようなことがあっても明確な『演じるべき自分=役割性格』を演じ切るスキルを使うことで、乗り切ることができるのです。

他にも、役割性格は様々な場面で活用できる考え方です。
例えば、チームの中で初めてグループのリーダーを任されたとします。それまではメンバーとして自分に与えられたミッションをこなすことだけを求められていたあなたは、リーダーとしての動きも求められ、初めは戸惑うことでしょう。与えられたリーダーのミッションはグループメンバーをまとめ上げ、メンバーの力を引き出し、グループに求められた成果を残すことです。自分にできるのかどうか不安になることもあるでしょう。

そこで、役割性格を演じるのです。

チームからあなたはリーダーという「役職」を与えられましたが、それはグループをまとめ、成果を残すというポジションを与えられたに過ぎません。「チームパフォーマンスを上げるためにリーダーとしてどんな考え方・行動が求められるのか。言い換えれば、どんなリーダー像を演じるべきか」は、ご自身で作り上げていけばいいのです。



では「役割性格」はどうすれば獲得できるのでしょうか。

実は「役割性格」を演じるためには

①自分自身をしっかりと知る(見える化)
②自分がコントロールできることを整理する
③なりたい自分像を演じる


の3つのステップがあります。
次回のコラムからこの3つのステップについて詳しく解説していきます。

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このコラムは、布施努 著「自分の最高を引き出す考え方」から一部抜粋し作成しています。このコラムで記載された内容を、より詳しく事例や解説などをまじえてお知りになりたい場合は、ぜひこちらの書籍をご覧ください。
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