トップアスリートの考え方の技術 vol.6 〜「役割性格」を演じるためのステップ③ 演じるとは?

前回までのコラムで、トップアスリートが演じる「役割性格」についてお話ししてきました。そして役割性格を演じるためには

①自分自身をしっかりと知る(見える化)
②自分がコントロールできることを整理する
③なりたい自分像を演じる


の3つのステップがあることをお伝えしました。今回は、そのステップ③について解説していきます。(ステップ①、②はvol.5で解説)

≪ステップ③ なりたい自分像を演じる≫
ステップ①・②で自分がコントロールできることを整理したら、次は意識して演じてみることです。

実は、一流選手のみならず多くの人が普段の生活でも少なからず使っています。例えば、お母さんは、子供と一緒にいる時と気の置けない友達といる時とでは話し方や行動が違うでしょう。ビジネスマンであれば、職場での自分と、家族といるときの自分、友人といるときの自分など、意識はしていませんが、誰でも役割性格を担っていて、その時々で言動は少し違ってきます。同じ一人の人間でありながら、無意識のうちにそれぞれの場で相応しい役割を担って自分らしく「行動=演じて」いるはずです。

レーヤー博士はそれを「役割を演じる」と表現しています。そして、強い選手ほど、こうありたいという選手としての像がしっかりしていて役割を演じている。練習はこういう態度で臨もう、ピンチの時はこう考えて、こうしようなどといった状況での考察が深く、しかもその役割をしっかり演じきれるというのです。

勝負のぎりぎりの場面や、不測の事態が起こる本番の試合では、多くの選手は不安や焦りの感情に流されたままプレーしてしまいます。ところが、強い選手はミスショットをした後でさえ、冷静に自分のするべきことを判断し、次のプレーへの集中力を高めていきます。

もちろん、このような強い選手たちも『オリジナルの自分』は多くの選手と同様に動揺したりします。しかし、動揺はしていても『演じるべき自分=役割性格』があり、それを演じ切るスキルを持っています。



そしてそれを繰り返し演じるトレーニングをしているので、試合中はほぼ無意識に、そしてある時にはスイッチを入れて演じるべきことに意識を向けて演じ切っているのです。

私はスポーツ選手以外にも多くのビジネスパーソンや会社経営者などをサポートしていますが、自分を客観視し、自分がコントロールできることを把握し、自分にとっての役割性格を演じた人は皆、最終的には結果を残すことができます。

成果が出るまでには人によって個人差はありますが、役割性格を演じるというスキルは誰にでもできるスキルです。

「本当に自分も俳優のように役割性格を演じられるのだろうか?」とまだ疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますので、次回は役割性格を演じられるようになるための重要なポイントをお伝えします。

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このコラムは、布施努 著「自分の最高を引き出す考え方」から一部抜粋し作成しています。このコラムで記載された内容を、より詳しく事例や解説などをまじえてお知りになりたい場合は、ぜひこちらの書籍をご覧ください。
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