
これまでも活動レポートなどを共有してまいりましたが、改めてスポーツ心理学博士布施努が特別講師を務める、日本陸上連盟主催の学生アスリート対象の「ライフスキルトレーニングプログラム」についてご紹介させていただきます。
このプログラムは2020年12月からスタートし、今年で5期目です。このトレーニングでは、自分の思考や状態を自分自身で認識し、常に最善の選択を行えるように自分をコントロールするためのトレーニングであり、これを通し「自分の最高を引き出す技術」を身に着けます。
オリンピック代表選手、世界選手権代表の選手をはじめ、陸連から選抜された学生のトップアスリートが約50名が受講してきました。
昨年のパリ五輪 には、このプログラムを受講した
◆中島佑気ジョセフ 選手 男子400m/4×400mリレー (富士通、第2期受講生)
◆豊田兼 選手 男子400mハードル (慶應義塾大学、第3期受講生)
◆栁田大輝 選手 男子4×100mリレー (東洋大学、第4期受講生)
◆柳井綾音 選手 男女混合競歩リレー (立命館大学、第4期受講生)
が出場し活躍を見せてくれました。
受講生達は大学在学中から卒業後も競技・社会生活でも飛躍を遂げており嬉しい限りです。
■講義テーマ
トップアスリートに基準を合わせた特別な講義を構成しています。1つの期で開催される講義は以下の4回です。受講生は毎回非常にレベルの高い議論を交わし、回を追うごとに考え方の成長が感じられます。
<1.オリンピックメダリストに共通する5つの特徴>
「ピーキング」「楽観主義」「内発的モチベーション」「完璧主義」「オートマチズム」
頂点に立つ人に共通する思考方法を共有し、ワークショップを通じて現在の自分と理想の自分とのギャップを認識する。
同時にそれが競技におけることだけでないことを知る。
講義 + 個人ワーク + グループワーク + 発表 + 振り返り + 取り組みテーマ設定
<2.トップアスリートの「目標の使い方」>
「ダブルゴール」「縦型比較思考」「CSバランス」
目標を設定するにとどまらず、目標を使い切るための考え方を学ぶ。
他人との比較ではなく、自分の最高の状態と現在の状態を常に比較し、最高に導くためのチャレンジ(C)とスキル(S)のバランスの保ち方を理解する。
講義 + 個人ワーク + グループワーク + 発表 + 振り返り + 取り組みテーマ設定
<3.フローを生み出す自己決定能力の5ステップ>
「外発的動機付けと内発的動機付け」「認知評価理論」
自分の力を最大限に引き出す動機付けのあり方を学ぶ。現時点の自分の活力の源泉を認識し、さらに高めるためにどうするかを考える。
また試合における緊張感をパフォーマンスに繋げるための認知評価について学ぶ。
講義 + 個人ワーク + グループワーク + 発表 + 振り返り + 取り組みテーマ設定
<4.重要な時に力を発揮する「獲得型思考」>
「獲得型・防御型」「オートテリックパーソナリティ」
ピンチに陥ってもその状況下で成果を残すアスリートの獲得型思考を学ぶ。
CSバランスを高度に保ちながら、結果を残し続けるために必要な習慣とはなにか。
オートテリック=自己目的的パーソナリティのパワーとそれを見に着ける方法を考える。
講義 + 個人ワーク + グループワーク + 発表 + 振り返り + 取り組みテーマ設定
■プログラムの詳細
日本陸上連盟「ライフスキルトレーニングプログラム特設サイト」https://www.jaaf.or.jp/lst/ では、このプログラムの発足敬意から過去の講義内容の詳細、受講生のインタビューなど非常に詳細にレポートされています。ご興味をお持ちいただいた方はぜひサイトを覗いてみてください。
直近(第5期)の全体講義振り返りインタビュー&グループコーチングレポートは下記に掲載されています。受講したアスリートの生の声が聞くことができ大変興味深い内容になっています。
〇第1回全体講義「トップアスリートの『目標の使い方』」事後グループコーチングレポート
https://www.jaaf.or.jp/news/article/21328/
〇【トップアスリートの目標の使い方】ライフスキルトレーニング第1回全体講義振り返りインタビュー:瀧野未来/渕上翔太/宮尾真仁
https://www.jaaf.or.jp/news/article/21322/
〇【オリンピックメダリストに共通する5つの特徴】ライフスキルトレーニング第2回全体講義振り返りインタビュー:髙須楓翔/白土莉紅
https://www.jaaf.or.jp/news/article/21399/
〇第3回全体講義振り返りインタビュー:樋口隼人/山本釉未
https://www.jaaf.or.jp/news/article/21410/
次回、パリ五輪、世界選手権に出場した受講生が、どのようにこのライフスキルトレーニングを競技に活かすことができたのかをご紹介してまいります。