リオ五輪、体操・水泳の好成績を生んだ 個人競技における“チーム力”

リオ五輪の前半戦でよい結果を出し存在感を示しているのが体操、水泳です。

この両者には共通した点があります。『チーム力』を大切にしているのです。

どちらも個人競技ですが、どうして『チーム力』を意識しているのでしょうか?

アメリカでは2002年に44人のアトランタ五輪コーチ、19人の長野五輪コーチを対象として

「何がオリンピックアスリートのパフォーマンスに影響したのか?」をリサーチしています。

この中で選手がよいパフォーマンスを発揮するには3つのことが影響することが分かっています。



・ポジティブなチームリーダーがいること

・強いチームケミストリー&コヒジョン(メンバー間の強い心理的結びつき&まとまりにより起こす化学反応)

・ポジティブな選手とコーチの関係





 スポーツには個人で戦う強さも大切ですが、チームを意識することにより個人のパフォーマンスが向上することもあります。



 リオ五輪の体操団体決勝で、山室光史選手が最初の種目・あん馬で把手をつかみ損ね、

落下してしいました。



 『もう本当にどうしようと思って・・・』

山室選手の頭に不安がよぎりました。



 しかし、この体操ジャパンにはチームリーダーである内村選手を中心に築いてきたチーム力がありました。



 山室選手は個人軸しか頭になければミスを繰り返したり、消極的な演技に終始したかもしれませんが、自分のメンタルにしっかりとチーム軸があったので自ら積極的に声を出し仲間を応援しました。



『自分でできることをしっかり、どうにかやろうと思いました』



 その山室選手の姿勢に呼応するようにチームは化学反応に似た不思議な作用(チームケミストリー)を起こしていきました。

山室選手自身も次の種目・つり輪では、あん馬の失敗の影響を最低限に抑え、最高の演技ではなかったもののまずますのスコアを出してつないでいきます。



『すごくいいムードで試合が最後まで盛り上がって金メダル取れたので、本当にみんなに感謝です』



 組織において強いチームケミストリーを作ることは粘り強くあきらめない集団につながり、個人のパフォーマンスを発揮しやすくなってきます。個人の意識が強い組織においてなかなか『チーム』を意識するのは難しいことですが、そこに時間、労力を注ぐ価値があります。